<ECLIPSE>

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種子
どんな音楽も似合わない、暗い夜。私はひとり、真っ白な光に曝されながら重厚な書物のページをめくる。なめらかに印刷された文字の隙間から意地悪な著者が顔をちらりとのぞかぜ、その度に私は比較的誠実に、足を組み替えてゆったりと構える。額に持っていく指さきから、さっき食べたセロリの匂いがする。

夜の散歩。外気から隔てられた車の中から、寒い街が見える。貧弱なイルミネーションでかろうじて彩られた街。枝を覆うまばらな光の点は木々の黒さを引き立てている。冬の、墨を流したような薄い空。私は存在の耐えられない軽さを思う。

気がついてみると、私はわたしからするりと抜け出して、まったく私でなくなっている。わたしでもあなたでもない、第三者の眼差し。そんな妄想でしかない眼差しの地点に私が「わたし」と呼んでいるものは飛ばされてしまう。私はまるで世界に組み込まれた一つの部品のように、滑ることも転ぶこともなく呼吸を続ける。歴史の一コマ、エキストラですらない、画面外の登場人物。その役には、名前がない。

すべてが予想内の会話。さして意味をなさない会話を日々繰り返しながら、私はその予測可能性に少し、驚いてしまう。人間は、思うとおりにいかないときよりも、思うとおりに物事が進むときにこそ眩暈するものだ。組み敷かれた石の先で、池に落ちる。私は軽やかに跳び越えていくわたしとあなたを池の淵に座ってただ眺めているたけで、もうその先に石が無いことに、声をあげたりしない。すべての儀式は、確信に満ちた犯罪によって行われ、罪はついに水の泡となる。私はともに対岸に立つ共犯者が欲しい。

さもなければ生は退屈に耐えざるものだろうから。


















































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PROFILE

☆
☆Author: 久美子
生まれ変わるなら、星か鳥になりたいと思う。
地上に「愛」が存在するならば、すべてを愛し、すべてに愛されたい。
命の灯をともして、日食の闇に、うごめく。



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