<ECLIPSE>

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夜の三歩
波打ち際からの道筋が分からなくなった私は、坂の上の歩道橋に登る。右を見ても左を見ても事態は何も変わっていないのだ。自由でいられないのならば― 心も体もすべて私のものなのだと主張できないのならば ― たぶん、間違いなく、私は生きているべきではないのだと思う。

海からの追い風に街灯の光と車のヘッドライトが滲んで、私は世界の何もかもを疎ましく感じる。何百万回の「なぜ?」がぶり返すように溢れ出す。拘束されている。縛り付けられている。がんじがらめになっている。

クロと名付けた闇色の猫は、ニャー と口を大きく縦に開けて鳴いた。恐る恐る近づいてきた彼女はまるであの有名な絵に出てくる黒猫のように美しくて、駐車車両の軽ワゴンのタイヤで爪を研ぐ姿がまた美しく・・・ いつもひとりなの?と聞いてみたけれど答えてくれなかった。その代わり彼女はアスファルトにしなやかな体を擦り付けて、さかさまに私を見る。ノド、ミミのツケネ、ハナスジ。気持ちのいいところを無防備にさらして。けれど私はなぜか、彼女に触れることができなかった。

私は恐れていた。いつも私が恐れているものを、彼女に対しても。


「三歩」歩いてすべて忘れられたらどんなにいいだろう。
果てしなく遠い散歩。


・・・・・

私にとって価値のあるものは、彼らにとっては何の価値もない。
彼らにとって価値あるものは、私にとっては何の価値もない。

ありきたりに生じる現象、その中で生きていくことがどれほど難しいかということを学ぶ。芝生の坂をサンダルで登ろうとして滑った。土と草であれば滑らないだろうに、その上に網目状のプラスチックがかけてあるからだ。コンクリートに石が埋め込んである道は途中までしか登れない。私は向こう側に海が広がっていることを知っているが、決して向こう側を見ることはできない。

海がひろがっていることを知っているが―

























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☆
☆Author: 久美子
生まれ変わるなら、星か鳥になりたいと思う。
地上に「愛」が存在するならば、すべてを愛し、すべてに愛されたい。
命の灯をともして、日食の闇に、うごめく。



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